2030年には約79万人のIT人材が不足~急増する外国人ITエンジニア

2030年には約79万人のIT人材が不足

日本でのIT人材不足が深刻化しています。2018年時点で既に約16万人が不足しており、2030年には最大で79万人不足すると経済産業省が発表しています。

(出典:IT 人材需給に関する調査 – みずほ情報総研株式会社)

2018年を100とした場合の市場規模(中位シナリオ)では約45万人、高位シナリオ(需要の伸び:約9~3%)では約79万人の不足となる見込みです。

 

IT人材不足の背景

IT 人材は、今後の日本企業の競争力に大きな影響を与えるデジタルビジネスの進展を担っています。特に、AI やビッグデータを使いこなし、第4次産業革命に対応した新しいビジネスの担い手として、その重要性がますます高まっています。

その高い必要性にもかかわらず、以下のような理由から、日本でのIT人材不足は拡大の一途をたどっています。

・少子高齢化が進み、労働人口が減少している

・人材育成の基礎となる高等教育等での整備が追いついていない

・コロナの影響もありIT 需要が急速に拡大している

・技術進展が進む IT 分野では、人材に求められるスキルや能力も変化する

・「従来型IT人材」から「先端 IT 人材(第4次産業革命に対応する)」への転換が進んでいない

 

外国人IT人材の増加

そのような背景の中、近年、情報通信業の外国人労働者は増加傾向にあります。

直近3年の推移をみると、毎年約1万人の増となっており、2020年には7万人を超える外国人IT人材が日本で就労しています。

2018年 57,620人

2019年 67,540人

2020年 71,284人

(出典:外国人雇用状況の届出状況について – 厚生労働省)

こうした外国人 IT 人材の供給を増やしていくことも IT 人材強化の方策の一つであり、最近では、AI 分野など、非常に高度な外国人の IT 人材の獲得を進める大手 IT 企業もみられています。

特に、高度な IT 人材獲得に関してグローバルな競争が激化しており、その獲得に向けては、外国人の高度な IT人材が日本で活躍するための環境整備を一層充実させていくことが求められています。

 

外国人IT人材に求める日本語レベル

外国籍人材の採用では日本語が応募要件となるケースがほとんどですが、IT人材の場合、特に高度なITスキルを必要とするポジションであればあるほど、求められる日本語レベルは下がる傾向にあります。

求められる日本語レベルは、以下の3パターンに大別されます。

 

1)日本語レベル:JLPT N2以上(ビジネスレベル)

・初めての外国籍人材の採用

・英語を流暢に話せる現場社員がいない

・社内のコミュニケーションが全て日本語

 

2)日本語レベル:JLPT N3以上(日常会話レベル)

・外国籍人材の採用実績あり

・社内コミュニケーションは日本語だが、英語でコミュニケーションができる社員がいる

・日本語研修など、外国籍社員育成のノウハウがある

 

3)日本語レベル:JLPT N4-5程度(初級)、または不問

・チームの半数近くが外国人

・高度なITスキルを要するなど、スキル重視のポジション

・社内コミュニケーションや業務はほぼ英語で行われる

 

日本語能力テスト詳細についてはこちら 外国人採用に役立つ、日本語能力を測るテスト5種を比較~JLPT, BJTなど

 

外国籍人材が日本で活躍するための環境整備

先ほど、「高度な IT 人材獲得に関してグローバルな競争が激化しており、その獲得に向けては、外国人の高度な IT人材が日本で活躍するための環境整備を一層充実させていくことが求められて」いると述べました。

ここでは、”外国籍人材が日本で活躍するための環境整備”へのご参考として、日本在住の外国人からの生の声をいくつか紹介します。

弊社が運営する、キャリア層向け日本語スクール「Coto Japanese Academy』『Coto Japanese Club』にて実施した調査、「Your Japan Experience Feedback」が出典です。

 

質問:日本でのビジネスに関して、苦労した経験があれば教えてください。(原文は英語)

「ビジネスマナー研修が必要だと感じている。日本に長く住んでいるが、まだ正しく理解できていない。会社では電話を取るのが苦痛だ。働き方、考え方に関する文化の違いもチャレンジングなものだ。」(40代、男性、会社役員、アメリカ出身)

「言葉の問題が大きい。」(30代、女性、会社員、ベルギー出身)

「日本でのビジネスは異なっていると感じる。人々の振る舞い方が違う。」(40代、女性、会社員、メキシコ出身)

「言語の壁はもちろん、日本人の考え方や、自分に対して期待されている振る舞い方を理解するのは極めて難しい。」(40代、男性、会社員、ハンガリー出身)

「何段階もある敬語は本当に大変。漢字を知らないとEメールも大きな課題になる。」(30代、女性、会社員、フランス出身)

「職場でのエチケット、電話に答えること、敬語」(30代、男性、会社員、ドイツ出身)

 

まとめ

今回は、日本におけるIT人材不足の状況と、それに対する方策の一つである外国籍人材についてご紹介しました。また、日本で働く外国籍の皆さんが苦労している点として、ビジネス日本語、マナー、ふるまい、考え方など多く見られました。採用・研修ご担当者様は参考になさってください。

 

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