外国籍ビジネスパーソンの採用にあたり、多くの企業が日本語能力を採用要件や目安としています。ですが、いざ実務が始まると、「要件レベルには合格しているが、会話はあまりできない」など、求めている人物像と現実が合致しないケースも出てきます。つまり、採用後に必要な日本語能力がどのようなものかにより、基準を設定する必要があるということです。
そこで今回は、日本語能力を測るテスト5種を取り上げ、目的・概要・各レベルの目安をご紹介します。
※各情報は2021年5月時点のものです。受験料は日本で受験の場合の料金です。
Table of Contents
外国人採用に役立つ、日本語能力を測るテスト5種を比較
日本語能力試験 JLPT
(出典:日本語能力試験 JLPT 公式HP)
日本語能力試験 JLPTの目的
日本国内および海外において、日本語を母語としない人を対象として日本語の能力を測定し、認定する
JLPTの概要
主催・運営:国際交流基金と日本国際教育支援協会の共催
実施時期:年に2回(7月上旬と12月上旬)
試験形態:指定日時・指定会場でのペーパーテスト
受験料:5,500円(税込)
判定方式:合格/不合格の認定制
成績証明到着までの所要時間:約2カ月
測定内容:選択枝によるマークシート方式、「言語知識」「読解」「聴解」の3科目
レベル:N5、N4、N3、N2、N1の5段階
JLPTの各レベルの目安~N5、N4、N3、N2、N1
N1:幅広い場面で使われる日本語を理解することができる
N2:日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる
N3:日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる
N4:基本的な日本語を理解することができる
N5:基本的な日本語をある程度理解することができる
日本語能力試験JLPTの公式HPはこちら
ビジネス日本語能力テスト BJT
(出典:ビジネス日本語能力テスト BJT公式HP)
ビジネス日本語能力テスト BJTの目的
日本語でのビジネス・コミュニケーションの能力を測る
BJTの概要
主催・運営:公益財団法人日本漢字能力検定協会
実施時期:ほぼ毎日実施
※1度受験すると、次の受験までに3ヵ月空ける必要がある
試験形態:日時と会場(テストセンター)を選択、コンピュータを使って解答するCBT(Computer Based Testing)方式
受験料:7,000円(税込)
判定方式:0~800点のスコア制
成績証明到着までの所要時間:受験当日にスコアレポート受け取り可能、受験から3日後に成績認定書発行
測定内容:「聴解部門」「聴読解部門」「読解部門」の3分野
レベル:J5、J4、J3,J2、J1、J1+の6段階
BJTの各レベルの目安~J5、J4、J3,J2、J1、J1+
J1+(600~800点)
どのようなビジネス場面でも日本語による十分なコミュニケーション能カがある。
J1(530~599点)
幅広いビジネス場面で日本語による適切なコミュニケーション能カがある。
J2(420~529点)
限られたビジネス場面で日本語による適切なコミュニケーション能力がある。
J3(320~419点)
限られたビジネス場面で日本語によるある程度のコミュニケーション能力がある。
J4(200~319点)
限られたビジネス場面で日本語による最低限のコミュニケーション能カがある。
J5(0~199点)
日本語によるビジネスコミュニケーション能力はほとんどない。
ビジネス日本語能力テスト BJTの公式HPはこちら
日本語NAT-TEST
(出典:日本語NAT-TEST 公式HP)
日本語NAT-TESTの目的
日本語を母語としない日本語学習者の日本語能力を判定する
NAT-TESTの概要
主催・運営:日本語NAT-TEST運営委員会
実施時期:年6回(2月・4月・6月・8月・10月・12月) ※1級と2級は年3回
試験形態:指定日時・指定会場でのペーパーテスト
受験料:5,500円(税込)
判定方式:合格/不合格の認定制
成績証明到着までの所要時間:約3週間
測定内容:「文字・語彙」「聴解」「読解」の3分野
レベル:5級、4級、3級、2級、1級の5段階
NAT-TESTの各レベルの目安~5級、4級、3級、2級、1級
1級:日本語を勉強し始めてほぼ1年(学習時間1,000時間程度)を経過した人の相当部分が到達しているであろう学習レベル
上級の学習者、並びに大学・大学院受験および日本語能力試験 N1をめざす学習者を想定
2級:日本語を勉強し始めて9か月以上1年未満(学習時間800時間)の人の相当部分が到達しているであろう学習レベル
将来、大学、あるいは専門学校に進学することを前提に学んでいて、日本語能力試験 N2をめざす学習者を想定
3級:日本語を勉強し始めて6か月以上9か月未満(学習時間600時間)の人の相当部分が到達しているであろう学習レベル
将来、大学あるいは専門学校受験および日本語能力試験 N3をめざす学習者を想定
4級:日本語を勉強し始めて3か月以上6か月未満(学習時間400時間)の人の相当部分が到達しているであろう学習レベル
日本語能力試験 N4をめざす学習者を想定、CEFR A2相当
5級:日本語を勉強し始めて1か月以上3か月未満(学習時間200時間程度)の人の相当部分が到達しているであろう学習レベル
日本語能力試験 N5をめざす学習者を想定
日本語NAT-TESTの公式HPはこちら
実用日本語検定 J.TEST
(出典:実用日本語検定 J.TEST 公式HP)
実用日本語検定 J.TESTの目的
外国人の日本語能力を客観的に測定する
J.TESTの概要
主催・運営:(主催)日本語検定協会J-TEST事務局(運営)株式会社語文研究社
実施時期:年6回(1月・3月・5月・7月・9月・11月) ※F-Gレベルは年3回(1月・5月・9月)
試験形態:指定日時・指定会場でのペーパーテスト
受験料:5,200円(税込) ※中高生は、学生証または在学証明書の画像があれは、2,600円
判定方式:スコア制
成績証明到着までの所要時間:約3週間
測定内容:「読解試験」「聴解試験」の2科目
レベル:G級、F級、E級、D級、C級、B級、A級、特A級の8段階
J.TESTの各レベルの目安~G級、F級、E級、D級、C級、B級、A級、特A級
上級者向け「A-Cレベル試験」
・ 1000点満点で点数によって能力を特A~C級に判定
・ 600点以上の方には認定証が発行される
初級~中級者向け「D-Eレベル試験」
・ 700点満点で点数によって能力をD~E級に判定
・ 350点以上の方には認定証が発行される
入門者向け「F-Gレベル試験)」
・ 350点満点で点数によって能力を判定
・ 180点以上の方にはF~G級の認定証が発行される
実用日本語検定 J.TESTの公式HPはこちら
伝わる日本語会話力評価 AJCS
(出典:伝わる日本語会話力評価 AJCS 公式HP)
伝わる日本語会話力評価 AJCS の目的
バランスの取れた日本語コミュニケーション力を判定し、よりよい人材と機会のマッチングの適切化・効率化を進める
AJCSの概要
主催・運営:グローバル日本語学習支援機構
実施時期:随時予約可能
試験形態:テスターとの1対1のインタビュー形式(オンライン)
受験料:5,800円(税込) ※団体割引あり
判定方式:ランク・クオリティ制
成績証明到着までの所要時間:約3週間
測定内容:発話力、聴解力、応答力、タスク遂行力、読解力など実際の会話での「伝わる会話力」の判定、「Communication Strategy」「流暢さ」「語彙力」の発話クオリティー判定
レベル:10段階のコミュニケーション総合力評価
AJCSの各レベルの目安~10段階
(出典:伝わる日本語会話力評価 AJCS 公式HP)
伝わる日本語会話力評価 AJCS の公式HPはこちら
まとめ
今回は、日本語能力を測るテスト5種をご紹介しました。目的・概要・レベルが異なるのはもちろん、試験の運用方法や判定方式などもテストにより大きく異なります。御社が外国人人材に求める日本語能力がどのようなものなのかにより、選択のご参考になさってください。
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